私の「イロハ」10.「ヌ」ヌ・ム・キ・トゥ・パ

私の好きなシャンソン歌手、ジャック・ブレルが歌う曲「行かないで」、「ne me quitte pas」歌詞が強烈である。1959年にベルギーのシンガーソングライター、ジャック・ブレルが書いたフランス語の曲。

フランス語の詩情と日本の歌に求める詩情は随分違うなあと思うことがある。

昨年まではカラオケによく行ってシャンソンを歌ったりしていた。シャンソンカンツォーネも沢山あって、日本人が直訳ではなく日本語でカバーしたものもあり、そのカラオケで歌っていたが、日本語の歌詞が出るので比べてみると、歌われている世界や気持ちが全く違う。

特にシャンソンの場合、歌詞の意味がダイレクトで生々しい。文化の違いと言って仕舞えばそれまでだが、やはりメロディラインとフランス語の音との一体化あっての響きだと思う。

 「行かないで、僕を 君の影の影でもいいから、君の手の影でもいいから 君の犬の影でもいいから 居らせて」なんて迫られたら、日本の女性は戻って来てくれるだろうか。

 アズナブールの歌に「イザベル」というのがあって、ほとんど恋人の名を読んでいるだけのセクシーな曲、しかもバッロク調のクラッシックな感じ。

 同じ頃、ジェーン・パーキンとセルジュ・ゲンズブールの je t'aime moi non plus  矢張りセクシーで美しい曲。

 この流れでいくと、バルバラの「黒い鷲」l'aigle noir

いずれも、私が20代の頃、耳にしていた、少し暗くて湿り気があり、しかも美しいメロディである。

 

https://youtu.be/E7zgNye6HTE

 

Ne me quitte pas                
Il faut oublier                      

Tout peut s’oublier              

Qui s’enfuit déjà                  
Oublier le temps
Des malentendus
Et le temps perdu
A savoir comment
Oublier ces heures
Qui tuaient parfois
A coups de pourquoi
Le cœur du bonheur
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas.

行かないで
忘れなければ  
すべては忘れられる 
過ぎ去ったことは忘れよう 
誤解と失われた時
どうしてそうなったのか知ろうとして 
君がしばしば投げかけたなぜ?の一撃で
打ち砕かれたしあわせな心

行かないで

行かないで

行かないで

行かないで

Moi je t’offrirai
Des perles de pluie
Venues de pays
Où il ne pleut pas
Je creuserai la terre
Jusqu’après ma mort
Pour couvrir ton corps
D’or et de lumière
Je ferai un domaine
Où l’amour sera roi
Où l’amour sera loi
Où tu seras reine

Ne me quitte pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas.

Ne me quitte pas

僕は君に
雨の降らない国から届いた
雨の真珠を贈ろう
僕がが死んだ後までも
君の躰を黄金と光で覆うために
僕は大地を掘り返すだろう
僕は国を作ろう 
そこでは愛が王で
愛が掟で 
君は王妃

行かないで

行かないで

行かないで

行かないで


Je t’inventerai
Des mots insensés
Que tu comprendras
Je te parlerai
De ces amants-là
Qui ont vu deux fois
 
 

Leurs cœurs s’embraser
Je te raconterai
L’histoire de ce roi
Mort de n’avoir pas
Pu te rencontrer
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas.


常軌を逸していても 
君なら理解してくれる言葉を
僕は君のために創るだろう
二度も心を燃え上がらせた 
あの恋人たちのことを君に話そう
君に出会うことなく死んだ
あの王の物語を君に語ろう

行かないで

行かないで

行かないで

行かないで

 

On a vu souvent rejaillir le feu
De l’ancien volcan
Qu’on croyait trop vieux
Il est parait-il
Des terres brûlées
Donnant plus de blé
Qu’un meilleur avril
Et quand vient le soir
Pour qu’un ciel flamboie
Le rouge et le noir
Ne s’épousent-ils pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas
Ne me quitte pas.

Ne me quitte pas

人はしばしば
あまりにも古すぎると信じられていた
死火山が噴火するのを目にする
それは焼け焦げた大地が最高の四月よりも
多くの麦の収穫をもたらすようなもの
天が燃え上がるために 
どれほど多くの夜が訪れただろう
赤と黒はひとつに交合わることはないのか

行かないで

行かないで

行かないで

行かないで

行かないで
Je ne vais plus pleurer
Je ne vais plus parler
Je me cacherai là
A te regarder
Danser et sourire
Chanter et puis rire
Laisse-moi devenir
L’ombre de ton ombre
L'ombre de ta main
L'ombre de ton chien
Ne me quitte pas

Ne me quitte pas
Ne me quitte pas.

僕はもう泣かないし
僕はもう話すこともないだろう
ここに姿を隠して 
陰から君を見ていよう
踊って、歌って、笑う君を見て
君の声を聴きながら


僕を君の影の影に
君の手の影に 
君の犬の影にならせておくれ

行かないで

行かないで

行かないで

行かないで

 

https://youtu.be/D6qKznp3RK0

https://youtu.be/kZ2bXzlh2WM

 

黒い鷲
あるいい天気の日に それとも夜だったか
私は湖のそばでまどろんでいた
その時突然 空が燃えるように見え
どこからともなく
黒いワシが現れた
 
ゆっくりと ワシは翼を旋回させ
ゆっくりと ワシが回るのを見た
私のそばで 翼の音をさせて
まるで空から落ちるように
ワシは降りてきた
 
ワシの目はルビーの色
羽は闇の色
ひたいは炎のように輝き
王冠をつけていた
ブルーのダイアモンドをはめた
 
くちばしで 私のほおに触れ
私の手に 首をこすりつけ
それから私は彼をもう一度知った
過去を取り戻し
彼はまた来てくれた
 
ワシよ言っておくれ 私を連れてゆくと言って
昔いた所に戻ろう
以前のように 子供のころの夢の中に
ふるえながら みつけよう
星々を 星々を
 
以前のように 子供のころの夢の中に
以前のように 白い雲の上に
以前のように 燃える太陽が
雨を降らせ
すばらしいことが起きる
 
ワシは翼の音をさせて
再び空に戻った
 
4枚の羽根 闇の色の
涙 それともルビー
私は寒かった 彼は何も残さなかった
ワシが残したのは
悲しみだけ
 
あるいい天気の日に それとも夜だったか
私は湖のそばでまどろんでいた
その時突然 空が燃えるように見え
どこからともなく
黒いワシが現れた

https://youtu.be/d9cEY13bUTo