私の「イロハ」24.「ウ」宇宙

「宇宙」に関して人類が考えてきた歴史は、人類の想像力の多様性の歴史でもあり、我々現代人が知るところの膨張宇宙論はまだ100年ほどのことでしかない。宇宙開闢のビッグバンが137億年の昔に起こり宇宙が今のように見渡せる状態になった宇宙の地平は100億年のことだと科学書には書いてある。いずれにしても「…億年」という単位が我々の想像を超えてしまっている。

 何千年かの昔、我々の祖先は星と月と太陽を見て、忘れてはいけないこの地(球)を含めて、いろんな物語を作り、「宇宙」と言う実態や、概念は現代人から見るとイリュージョン・幻影の世界であったと思う。

我々は今も、物語のギリシャ神話の星座に拘っていて(私は水瓶座)人格や性格をそれに充てがったりしている。ある人は水瓶座のことを、「みずがめ座の性格 とてもフレンドリーで、愉快な話やジョークを好みます。 すぐ感動し、感情表現も豊かですが、一方通行の会話になってしまうことも。 とはいえ、一般論や世俗的な価値観に縛られることなく物事や人に向き合うことができます。」と言う。自分のことをそう思えば、そうかなぁ、と半分納得しそうになるが、全く根拠はない。アトラスが天球を担いでいる彫刻や絵が残っているが、日常の天空を眺めて、一人の巨人がその世界を担いでいるとイメージ出来たのだろうか?私が幼少の頃「夢想」と「現実」の区別がつかなかったこともあるが、我々の祖先、人類がまだ若かった頃は、今と違って「現実世界」を照査する方法も乏しく「現実」と「夢想」の境目が曖昧で目の前に見えている世界はそれ程確かなものでなかったのかもしれない。

 今も、超越的なものを容易に信じる事があるし、現実を上手く理解できない場合は超越的な神やスピリチュアルの世界に委ねてしまう。

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f:id:AchiM:20210127121157j:image水瓶座

 

f:id:AchiM:20210126162929j:image天球を支えるアトラス

 今、私が夜空を眺める時、宇宙の彼方を思い浮かべる術は何もない。137億光年の彼方まで拡がる宇宙空間が如何なるものなのか?何の想像も働かない。ただ、今もその宇宙が膨張し続けていると言う。すなわち星々の距離は離れて、今の科学的知見では元に縮まることはないらしい。この無限性にクラクラする。「無限性」にあまり馴染みのない我々の精神は、なまじ科学的な宇宙論を知識として知ったために狼狽えてしまう。一昔前、神が生きていた時代、たとえば、ベートーベンの生きた19世紀中頃まで天空に神を思い祈る事が出来た。

ベートーベンの第九シンフォニーの中で祈りのような旋律で歌われるシラーの詩の一節、

Ihr stürzt nieder, Millionen?
Ahnest du den Schöpfer, Welt?
Such' ihn über'm Sternenzelt!
Über Sternen muß er wohnen.

ひざまずくか、諸人よ?
創造主を感じるか、世界中の者どもよ
星空の上に神を求めよ
星の彼方に必ず神は住みたもう 

 

40年ほど前、合唱をやっていて数年間、毎年暮れになると合唱団でドイツ語の歌詞を覚えてこの曲を歌ったのを思い出す。

Ihr stürzt nieder, Millionen の「stürzt 」(落ちる)と言う単語、6つ文字があって母音はひとつ、日本語的には舌と歯が上手く使えないでとても難しい。唾きをを飛ばしながら歌った。しかし、この部分とても超越的なものに祈りたくなる敬虔な響き。

 「星の王子さま」のサン・テグジェペリが砂漠に不時着して、夜、小高い丘で横になり空を見ると、まるで宇宙に投げ出されたように思えたという記述があった様に、地球もまさに宇宙空間を漂っているのが実感できたのだろう。私もそんな経験がしたいと思う。

 ここ岡山に来て、見える夜空の星数も増え、時々の天体ショウ、日蝕、月蝕、金星蝕、彗星、流星、月面や黒点の観測など写真に納めて楽しんでいる。火星や土星木星も挑戦してみた。宇宙に一歩踏み込むささやかなキッカケとして。太陽や月への距離も、光の速度 約30万km/s(これすらも我々の日常的な想像力を超えている)を基準に考えると、太陽から地球まで約8分19秒、月から地球まで2秒と言う距離である。月を見て、私は月の2秒前の姿を見ていることになる。考えてみれば、私からすると全て目にするものは私から何らかの距離がある。有限の光でもって見ているのは、全て、厳密には今の姿ではない、過去の姿と言ううことになる。宇宙に眼差しを向けることはそう言ううことなのだ。

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f:id:AchiM:20210127190038j:image月蝕、蝕がフルになると月が赤く映る。
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f:id:AchiM:20210127190035j:image黒点。これ迄の一年は黒点極少期でほとんどない。
f:id:AchiM:20210127190024j:image金星蝕(2012.6.5)
f:id:AchiM:20210127190021j:image私の望遠レンズで撮った火星。

f:id:AchiM:20210127192519j:image木漏れ日の日蝕 2012.5.20

f:id:AchiM:20210127193206j:imageカーテンに映った日蝕 (同上)

f:id:AchiM:20210127193243j:imageボール紙に穴を開けて映し出したピンホール日蝕 (同上)